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建造船紹介 : ベストセラーとしての 47PC

尾道造船(株)設計部 佐藤弘史

尾道造船の得意とする 47PC (D/W 47,000T 型 プロダクト船 : MR II 型) は同型船として実に 42 隻もの連続建造を果たし,プロダクト船としては,世界でも稀にみるベストセラーとして,注目されています。そのモデルチェンジ型として,昨年開発したばかりの Mark II シリーズも好評で,既に 6 隻を建造中です。

なぜ,これだけのシリーズとして 10 年もの間,船主殿の好評を維持することが出来たかと申しますと,以下の 3 点が挙げられると思います。

まず,1 点目はマーケット調査を通して,それまで世界の主流であった MR 型 (D/W 40,000T 型) より一回り大きい MR II 型の開発を行い,これがタイミングよく船主殿に受け入れられたこと。

2 点目は,コンテナ船,フェリーの建造で培われてきた,"洗練されたLINES" により燃費の良い,理想的な経済船型を開発できたこと (ちなみに以後,世界中の造船所で MR II 型が建造されて来ましたが,未だにこの点ではトップを維持しています)。

3 点目は,プロダクト船の重要なノウハウのポイントでもあるカーゴタンクの特殊塗装でトップメーカーの "ナカタマック・コーポレーション" の優れた塗装技術によるものです。本社は同じく尾道にあり,同社でも 5 隻のプロダクト船を建造し,船主の立場と一方では施工業者の立場からの塗装のノウハウを学び,実績を積んできた賜物と思います。

これだけ連続建造となると,船主要望による変更点も船毎にあり,当初は混乱をきたしましたが,図面のコンピューター化の拡大により,現在ではかなり効率アップで対応しています。

尾道造船の船台は 10 万トンのタンカーも進水出来るものですが,47PC の建造ではセミタンデムと呼ばれる方式で効率アップを図り,現在,年間 8 隻の建造スケジュールが定着しています。セミタンデム方式とは同じ船台上で次船の後部船体 (機関室・ポンプ室の部分) を本船の前方で同時に建造し,本船の進水後所定の位置まで移動し,以後同様に船体を建造していく非常に効率の良い建造方式で,47PC 建造当初から採用し今日に至っています。

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