| ||||||||||||
常石造船近況紹介(1) : 海外展開 フィリピン編常石造船(株)経営企画部 長谷川 弘
韓国・中国企業との競争激化また円高や材料費の高騰が進む中,常石造船は海外展開を進め競争力の強化をはかってきました。まずその先鋒となったフィリピン事業について紹介します。 セブ島バランバン町に設立した現地法人「Tsuneishi Heavy Industries Inc. (THI)」は,10 周年を迎えた今年,投資総額約 40 億円に及ぶ工場設備の増強を行い,2005 年度には D/W 52,000T 型ハンディマックスバルカー (52BC) を現在の 2 倍となる年間 14 隻の建造を目指しています。 6.4万m2に及ぶ海岸埋立て工事が終わり,第 2 船台,艤装岸壁,内業工場および付帯設備の建設が進んでいます。併せて現有の第 1 船台のクレーンも大型化します。2004 年 9 月には完工し,敷地面積 40万m2に拡張された工場は,設備的にも,生産量でも常石・多度津工場と比肩する主力工場となります。 現在 THI で働いているのは現地人約 3,000 人,建造工数は日本の約 2.5 倍ですが,国内と違い居住区などのブロック外注は行わず,またハッチカバー・パイプ・鉄艤装品なども自前で製作しています。今回生産量を倍増しても,設備改善効果とフィリピン人リーダー主導の技能教育により生産性を向上させ,人員増は 20〜30% で抑えます。設立時には最大 130 名の日本人が現地に派遣されましたが,今回はそれほど多くを必要としません。現在THI に 24 人,セブ市内にある設計会社に 3 人,木製家具製造会社に 2 人,合計 29 人が経営陣・管理者として日本から赴任しています。 1998 年には ISO9001 の認証を取得しました。さらなる顧客の信頼を得るため昨年末,本社に先駆け ISO14001 の認証を取得しました。日本での建造にこだわっていた欧州船主も最近 THI 建造に切り替えてきました。これまでに 23BC 9 隻,28BC 2 隻,45BC 7 隻,52BC 20 隻,合計 38 隻を建造してきました。いずれも既に国内で建造実績がある標準船でしたが,2006 年には新設計 58 型ダブルハル・ハンディマックスバルクの 1 番船を建造します。次はパナマックスバルクへとチャレンジは続きます。 THI で発生するコストは,円・米ドル・ペソで,それぞれがほぼ 1/3 となっており,為替変動の影響を受けにくくなっています。THI は,現地の人々のたゆまぬ向上心に支えられ,国内工場に遜色のない優れた品質の船造りを行う体制を整えたこと,また為替変動のリスクに強い経営体質を備えることにより,常石造船グループとしての国際競争力の強化に大いに貢献しています。 関連リンク |
||||||||||||
| ||||||||||||
〒812-8581 福岡市東区箱崎 6-10-1 九州大学工学部船舶海洋システム工学教室内 西部造船会 Tel. : 092-642-3718, Fax : 092-642-3719, E-mail : webmaster@wjsna.jp |