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建造船紹介 : 22,700m3 多目的 LPG 運搬船

(株)名村造船所 (名村エンジニアリング) 太田貴大

22,700m3 多目的 LPG 運搬船
22,700m3 多目的 LPG 運搬船
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双胴円筒型カーゴタンク
双胴円筒型カーゴタンク
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カーゴコンプレッサー
カーゴコンプレッサー
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2002 年 4 月から 2003 年 1 月の間に,当社で初めて建造した LPG 運搬船 3 隻の引渡が行われました。今回紹介するのは同型 2 隻の 22,700m3 多目的 LPG 運搬船です。

LPG 運搬船はカーゴの貯蔵形態によって,大気圧にほぼ等しい圧力下において低温で貯蔵する低温式,温度圧力の制御を行わず常温の飽和圧力にて貯蔵する圧力式,おおよそこれら二つの性格を併せ持つ低温圧力式に区別されます。本船は低温圧力式と呼ばれるもので,カーゴタンク構造は圧力容器規格で設計建造されるタイプ C に分類され,万が一カーゴが漏洩した時にそのバリアとなる二次防壁を必要としません。

本船のような低温圧力式や圧力式のカーゴタンクの場合,鋼材の板厚制限があるため大型のカーゴタンクには向いていません。ドイツの造船所で建造された Tri-lobe タンクを搭載した LPG 運搬船を除けば,本船の 22,700m3 は世界でも最大級のカーゴタンク容量になります。低温圧力式は一般に運用パターンが低温式や圧力式に比べ柔軟であり,欧州の小型船では主流となっています。

  1. カーゴタンク

    カーゴタンクの断面形状は双胴円筒型 (Bi-lobe) です。本船クラスのカーゴタンク容積を有する低温圧力式 LPG 運搬船の場合,一般にカーゴタンクの数は 4 タンクですが,1 タンク当たりのカーゴ積載量を増やし 3 タンクとしました。これにより 2 番タンクは双胴円筒型として世界最大級の容積となっています。本船のカーゴタンクはアンモニアの積載ができるような鋼材で作られています。自社で建造しましたので,当社の設備を最大限利用可能な工法を採用しました。

  2. ガスプロセスシステム

    カーゴタンクの設計及びガスプロセスシステムの設計・調達は,技術提携を結んでいる英国の LGE 社と協業し行いました。本船のような低温圧力式は,一般に運用パターンが低温式や圧力式に比べ柔軟性を要求されるため,船主殿の意向も反映し,低温式に比べより大きな再液化能力を有する再液化装置を搭載しています。積荷・揚荷における陸上施設の制限を受けないよう,カーゴヒーター/ベーパライザーやブースターポンプなどの必要な機器類も装備しています。

本船及びさらに小型の 8,700m3 多目的 LPG 運搬船 3 隻共々,今後も引き続き航海の無事と世界中での活躍を願っています。

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