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宇宙航空研究開発機構の技術研修生として

長崎総合科学大学大学院工学研究科総合システム工学専攻博士課程 2 年 星  光

試験機前に立つ筆者
試験機前に立つ筆者
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私は,現在長崎総合科学大学大学院の博士課程に在籍しておりますが,どうしたものか東京で研究活動をしております。2 年程前から,(独)宇宙航空研究開発機構・先進複合材評価技術開発センターの技術研修制度を利用して,複合材料に関して勉強をさせて頂いております。宇宙航空研究開発機構 (JAXA) というと聞きなれない方もいらっしゃると存じますが,H-2A ロケットを打ち上げている日本版 NASA といった感じの組織です。

先進複合材評価技術開発センターは,複合材料に関する研究を基礎から先端分野に至るまで幅広く行っている部署です。私は,航空機複合材構造の修理の研究をしていますが,私以外にも,首都圏の大学から学生さんが来られて研究活動をされています。学生さんはそれぞれに自分の研究テーマを持っていて,宇宙機用の耐熱複合材や航空機用の構造材,今話題のナノ複合材など刺激的な話がいろいろと聞けます。

ところで,「なんで JAXA で複合材を研究しているの?」と思われる方もあるかもしれません。そもそもは,本学船舶工学科自慢の人力水中翼船を製作する際に,CFRP を利用したことがきっかけでした。そこで複合材料の魅力に取り憑かれ,メール 1 通で JAXA にお世話になってしまいました。おかげで,周囲の方々には多大な迷惑をかけ,本人もかなり苦労していますが,恵まれた環境で勉強できることは本当に幸せです。

最近の宇宙観測によると,木星の衛星エウロパには氷で覆われた海があるそうです。こうなると造船屋の皆さんは,「氷の下に潜水艇を潜らせて地球外生命の探査をしてみたい!」と思うのではないでしょうか?この夏,将来の「宇宙船舶工学」を考えてみるのも良いかもしれません。これは,全くの蛇足なのですが,,,。

最近は,どうもアホなことばかり考えているわけにもいかず,自分の研究テーマである複合材修理部の実験に追われています。実は,4 年後の 2008 年には主翼や胴体までも CFRP 化された,約 200 人から 300 人乗りの旅客機 (B7E7) が日本の空を飛び始めます。自分の研究が僅かでも安全運航の向上に繋がればと望んでいますが,時々「本当に上手くゆくかな?」とちょっと弱気になったりもします。研究は到底「スマートで 目先がきいて 几帳面 負けじ魂 これぞ船乗り」とは行きませんが,少しでも潮気を利かせて頑張りたいと思っています。

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