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新技術紹介 : 自動車運搬船用泡消火装置

(株)新来島どっく技術設計本部 中川道雄

泡消火装置 発泡部
泡消火装置 発泡部
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泡消火用ダンパー
泡消火用ダンパー
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新来島どっく建造の自動車運搬船に採用している『自動車運搬船車両倉用泡消火装置』を紹介します。

従来,自動車運搬船には,炭酸ガス (CO2) 消火装置を備えており,大型自動車運搬船では,約 50 トンの液化炭酸ガスを船内に保有していました。火災が起こった場合は,その火災区画を密閉し,その区画に炭酸ガスを放出して酸素を断つことにより消火します。酸欠状態をつくり出して消火するため,その区画に人が残っていないかを充分確認して炭酸ガスを放出しなければなりません。そのため炭酸ガス消火装置の始動は非常に慎重に行われています。

新来島どっくでは,泡消火装置メーカーの協力を得て,それらの欠点を克服した下記の特徴をもつ自動車運搬船車両倉用泡消火装置を開発し,実船に採用しています (特許登録済)。

  1. 地球温暖化ガスのひとつである炭酸ガス (CO2) を放出しない,環境に優しい消火装置である。
  2. 人体に無害な泡による消火であるので,人に優しい消火装置である。
  3. 清水で発泡させるため,自動車運搬船の貨物である自動車に無害であり,車に優しい消火装置である。
  4. 炭酸ガス消火装置のように消火区画を密閉 (気密) にする必要がない。
  5. 炭酸ガス消火装置では困難な初期消火(局所消火)が可能となる。
  6. 消火装置の重量が軽くなり,船のスタビリティ (安定性) が向上するので,車両積台数が増加する。
  7. 倉内換気用に自動車運搬船には必ず設備される通風機と換気ダクトを利用し,倉内換気の機能と,火災時の泡消火の機能を切替えるダンパーをダクト内に設けているので,消火装置の占める面積が少なく,追加して設備しなければならない装置も少ない。

以上のように,従来の炭酸ガス消火装置に比べて優れた特徴があります。

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