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新造船紹介 : 名村最新鋭 SUEZMAX TANKER の紹介

(株)名村造船所基本設計部 李  旗

航走中の OLYMPIC FUTURE
航走中の OLYMPIC FUTURE
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NCF (Namura flow Control Fin)
NCF (Namura flow Control Fin)
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ウイングコントロールスタンド
ウイングコントロールスタンド
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本船型は(株)名村造船所が開発した最新鋭 2 重船殻 SUEZMAX TANKER で,第 1 船 "OLYMPIC FLAG" は昨年 3 月に,第 2 船 "OLYMPIC FUTURE" (写真参照) は昨年 8 月に(株)名村造船所伊万里事業所にて完工・引渡されました。その特徴を紹介します。

本船型は SUEZMAX TANKER として最大級の載貨重量を誇り,また,船尾プロペラ前方には当社が開発した省エネルギー付加物 "NCF (Namura flow Control Fin)" を装備しており,推進性能の向上によって燃費削減を図っています (写真参照)。

船体構造は最適化設計を行った上,強度的余裕を持たせています。さらに,ABS Notation "FL(30)" (船殻構造の 30 年疲労寿命) を取得しており,疲労強度を高めています。

バラストタンクは船首尾タンクを除いて 24 個に細分化しており,一層細かいトリム調整・バラスト水交換手順が可能となります。燃料油タンクは 2 重殻構造で分割しており,損傷時燃料油流出量の低減を図ることにより,環境保全に一層配慮しています。また,オイルメジャー Exxon Mobil の Marine Environmental and Safety Criteria (海洋環境および安全基準) を適用しています。

荷油ポンプとバラストポンプには,真空ポンプ式セルフストリッピング装置を設け,荷役効率の向上を図っています。また,荷油管, タンク洗浄管, 荷油タンクベント管には,クロム入り耐食鋼管を,バラスト管にはガラス強化熱硬化性プラスチック (GRP) 管を採用し,耐食性能を高めています。

居住区は 6 層構造で,これまで数多くの実績を上げている,エンジンケーシングとは分離型の当社オリジナル居住区を採用し,振動・騒音低減を工夫しました。それに船主要求を満たすよう,改良を行いました。最上層の操舵室は,視界を十分確保した窓配置としており,操舵区画,海図区画,無線通信区画を機能的に配置しています (写真参照)。右舷側のブリッジウイングにウイングコントロールスタンドを設け,接舷操作を容易にしています。

主機は 三菱重工製 7UEC68LSE を採用し,シリンダー油自動注油装置を備え,瀬取りの際の連続低速運転に対応できるよう燃料噴射弁制御装置を設けています。また,負荷に応じて発電機の運転台数等を制御するパワーマネージメントシステムを装備しています。さらに,統合航海システム "INS (Integrated Navigation System)" を装備し,航海の安全性・信頼性・自動化を高めています。

規則で要求される耐火ケーブルを除き,すべての電線を耐延焼ケーブルとすることにより,火災時のシステム保全性を確保しています。

なお,本船型の主要目は次の通りです。

全長:273.97 m
垂線間長:263.00 m
幅 (型):47.00 m
深さ (型):23.30 m
夏季満載喫水 (型):17.10 m
載貨重量:約 155,000 MT
総トン数:80,591 T
純トン数:51,170 T
貨物油タンク容積:175,112m3
主機関:三菱 7UEC68LSE × 1 基
連続最大出力:18,630 kW×91.0 min.-1
連続常用出力:16,770 kW×87.9 min.-1
航海速力:15.75 kt
航続距離:約 20,800 nm
定員:39 名

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