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ISSC (国際船舶海洋構造会議) の紹介九州大学大学院工学研究院 安澤幸隆
ITTC (International Towing Tank Conference,国際試験水槽会議) と並んで船舶海洋工学の分野では,伝統のある国際会議 ISSC (International Ship & Offshore Structures Congress,国際船舶海洋構造会議) というものがあります。組織委員会や運営委員会のメンバーではないので部分的にしか理解できていないのかも知れませんが,馴染みのない方あるいは若い人に向けて,自分の短い経験から得られたこの会議に対する私の印象を中心に紹介しようと思います。 私と ISSC の関わりは,2000 年に長崎で開催された ISSC 2000 の現地実行委員会のメンバーになったのが始まりです。ISSC は,自分の研究発表を行う学会形式の国際会議とは全く異なり,3 年毎に行われる会議に登録された人しか参加できません。そのため,参加経験者でないとどんな形式の会議であるのかわかりません。 私も良くわからずにまずオブザーバーとして指名され参加し,ISSC 2000 の会議において Dynamic response 技術委員会のメンバーになりました。環境,荷重,動的応答,準静的応答,最終強度,材料強度,設計思想,工作・建造など多くの技術委員会および特別技術委員会などから構成されており,分野が非常に幅が広く,日本の参加委員は構造系のメンバーが主ですが,外国委員には流力専門の人も多いようです。 活動内容を一言で言えば,「船舶や海洋構造物の研究の現状を世界的に調査して,今後研究して発展させるべき事柄を提案し報告書にまとめる」と言うことであると思います。各技術委員会は 10 名程度の委員で構成されており,財政的な支援のないボランティア的活動ですから,やってみるとなかなか大変です。半年あるいは 1 年ごとに中間ミーティングを世界各地で行い討論します。少人数で英語によるブレインストーミングと言うものを経験したことがない私にとっては,最初の中間ミーティングは時差ボケもあり,とまどいました。ブレインストーミング後,各委員会ごとに決められた mandate に従って報告書の内容や焦点を当てるべき事項などを決め,作業手順と分担を決めます。そして 2 回目以降の中間会合では,作業の進捗状況の説明と討論を重ねていきます。 各委員会では,3 年毎に開催される本会議に向けて,報告書を chairman が中心となってとりまとめてさらに上部の委員会に提出しますが,本会議が開催されるときにはすべての報告書が 2 冊の本となっています。本会議では,各委員会毎にメンバーが集まってプレゼンテーションとディスカッションに関する打ち合わせを行った後,各委員会の chairman が要領よくプレゼンテーションし,引き続いて予め指名された official discusser によるプレゼンテーションがあります。その後,フロアディスカッションも行われて,chairman はそれに対する回答と意見を述べます。メンバーと違い,chairman は本会議において大きな仕事をするわけです。 報告書は,上記の 2 冊とディスカッションおよびその回答を収録した 1 冊の計 3 冊となり一般に販売されています。この 3 冊の本は,最新の船舶・海洋分野の世界的研究技術動向を知るにはとても有用な材料であると思います。若い研究者やこれから新しい分野を研究しようと思う人はこの本に目を通すことをお勧めします。本には膨大な参考文献が掲載されていますからそれを見るだけでも研究動向がわかります。 現在,私は 2003 年のサンディエゴの本会議を経て 2 期目になりますが VLFS special task committee (超大型浮体構造物の特別タスク委員会) の委員を勤めさせていただいています。"special task" というからにはレビューのみならず work も要求されますので現在半年毎にメンバーで集まり調査や討論を行っているところです。もしかするとこれを読んでおられる会員の方に何か協力をお願いするかも知れません。そのときには,是非ご協力をお願いいたします。2006 年に Southampton で開催される予定の ISSC 2006 本会議に向けて,良い報告書が提出できるよう努力したいと思います。 ISSC における活動を通して様々な勉強ができたこと,そして泊まりがけの中間会議などを通して海外の研究者と親睦を深めることができたことは,私にとってかけがえのない体験であると感じています。ISSC に関連していろいろお世話になった方々にこの場を借りて御礼申し上げます。 ISSC に関する参考文献
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