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日韓の架け橋として活躍する旅客フェリー「ニューかめりあ」三菱重工業(株)下関造船所 大和邦昭
「ニューかめりあ」は,平成 16 年 7 月 5 日より博多と釜山を結ぶ国際航路に就航している 20,000 総トン型の旅客フェリーです。 本船の船名は,釜山市の市花である「椿」と福岡市の市花である椿科の「山茶花 (サザンカ)」に由来しており,この航路を結ぶ両市に共通する「椿 (英語名 Camellia)」をとって「ニューかめりあ」と命名されました。 昨今の日本における韓国ブームに見られるように,最も近い隣国「韓国」との物流・人流ニーズは年々増大しており,今後もさらに進展する見通しです。このような時代の要請に応えるべく,本船は貨物積載能力の強化と高速化によるデイリーサービスを実現し,優雅な船旅を演出する居住設備を兼ね備えた最新鋭旅客フェリーとして建造されました。 本船が就航する前の運航ダイヤは,夕刻発で翌朝の入国審査開始の 8:00 以前に入港する週 3 便でしたが,現在は博多を 11:30 に出発し,釜山 17:00 着,6 時間後の 23:00 には再び釜山を出港して翌朝 6:00 に入港する週 6 便 (週末は運休日) のデイリーサービスが行われています。 デイリーサービスを実現するためのキーワードは高速化であり,本船では 2 つの高速化が図られています。1 つは船のスピードアップで,航海速力を従来船の 20 ノットから 23.5 ノットへと大幅に向上させ,航海時間を約 1 時間短縮しました。 そして,もう 1 つは荷役の高速化です。従来は,朝入港して旅客と貨物を降ろして夕刻出港するまでの間,貨物の積み込みには十分な時間がありましたが,本船のダイヤでは博多港で 5 時間半、釜山港では 6 時間しか停泊時間がなく,しかも,貨物の積載量は従来船よりも多いため,大幅な荷役の効率化が必要となります。 そこで,船首尾部にそれぞれ舷側ランプを設け,これらのランプを通じてトレーラシャーシにより 40ft コンテナが 2 口同時に搬出入できるよう配慮しました。船内に運び込まれたコンテナは "トップリフター" と称される大型フォークリフトにて効率よく積載されます。 この貨物積載区画の高さは従来の国内フェリーのトレーラ層 2 層分にあたる 8.7m であり,40ft コンテナをフォークリフトによって倉内で 2 段積みすることができます。さらに,船内中央付近には天井を支えるピラー構造や機関室からの排気管を配置せず、広大な貨物積載スペースを有効に使うことで,20ft コンテナ換算で 220 本のコンテナを積載でき、従来船よりも積載能力を 30% 増加しながらも短時間の停泊時間で荷役が完了するシステムを実現しています。 居住区画は,DECK 3 上に4層配置し,DECK 3 は旅客用のパブリックスペース,DECK 4,DECK 5 は旅客室区画,最上層の DECK 6 は乗組員専用区画としています。居住区画は,「汽笛とともに旅は始まる」をコンセプトに様々な旅客ニーズに対応したアメニティ施設が備えられています。特に,旅客用のパブリックスペースである DECK 3 には,結婚式も可能なエントランスを始めとして,レストラン,グリル,プロムナード,サロン,テレビシアター,ゲームコーナー,カラオケルーム,展望浴室,免税店,案内所等が配置されています。また,DECK 5 の特別室など居住性の優れた客室を備え,船旅の優雅なひとときを演出しています。 読者の皆様にも,機会があれば「ニューかめりあ」に乗船して頂き,優雅な船旅を満喫して頂ければと思います。
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