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九州大学海洋システム工学部門の近況報告

九州大学大学院工学研究院 梶原宏之

皆様ご存じのように,平成 16 年 4 月 1 日より,国立大学九州大学は,「国立大学法人九州大学」と名称が変わりました。すなわち,全国 89 の国立大学は,国立大学法人として,新たなスタートを切りました。これは,明治期の帝国大学創設,戦後の新制大学発足に匹敵する大改革であり,大学の大衆化,市場化,グローバル化のメガトレンドの背景のもと,特に我国では,18 歳人口の急減,産業・職業構造の急変,進学率の頭打ちの要素も加わって,大学は「知の共同体」から「知の経営体」に変質せざるを得なかったためと言えます。法人化の基本骨格は,個性輝く大学作りを目差した次の 4 点にあるとされています。

  • 役員会・教育研究評議会・経営協議会を中心とした自主的・自律的な大学運営・経営体制の確立
  • 民間的発想と大学運営への学外者の参画
  • 非公務員型人事システムの導入
  • 第三者評価機関による透明性の高い評価に基づく改革サイクルの確立

これに応じて,当部門としては,船舶海洋工学分野における世界的研究拠点を形成するために,次の 3 つの重点研究課題を掲げております。

  • 高性能船舶開発 (ハイブリッド型自動運航船舶の開発,大型高速船舶用推進システム)
  • 構造強度評価 (シミュレーション援用構造強度評価システム)
  • 環境調和機能 (労働安全環境とリスクマネージメント,環境調和型物流)
久住山山頂にて (九重研修)
久住山山頂にて (九重研修)
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次に教務関連の現況を述べます。九州大学工学部では,入学時にはまず大学科に所属し,2 年生になってコース分けを行い,各コースに分かれます。本年度も地球環境工学科 2 年生のうち 34 名 (全員男子) が,船舶海洋システム工学コースに進みました。夏には,3 年生が各造船所における工場実習に参加し,造船所の方々の暖かいご協力のおかげで無事に実習を終えさせていただきました。毎年,実習終了後に教員も含めて実習報告会を開きますが,その報告を聞くとこの実習が学生にとって造船の実際に触れるよい機会となっていることや,また関係各位から多くのご厚情をいただいたことが感ぜられます。改めてこの場を借りて御礼申し上げます。10 月には 2 年生以上の学生および教員の親睦を深めるために恒例の九重研修が実施されました。

学部教育については,JABEE (日本技術者教育認定機構) への対応を進めております。そのためには,当該カリキュラムにおいて達成しようとする教育目標を掲げなければなりませんが,船舶海洋システム工学コースの教育目標としては,主に次の 3 つを設定しようとしております。

  • 地球環境を守り,海と人との新しい関わりを模索する姿勢を身に付ける。
  • 船舶海洋工学を支える理論と技術を修得する。
  • 船舶海洋システムの計画や設計を行う能力を身に付ける。
九大新キャンパスにおいて建設中の研究教育棟(九大ホームページより)
九大新キャンパスにおいて建設中の
研究教育棟 (九大ホームページより)
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九州大学では,現在も造船学教育のカリキュラムを堅持しており,毎年 15〜25 名の大学院修了生・学部卒業生が造船・海洋関係の企業等に就職し,就職先業種全体に対する造船・海洋関係の割合は 45〜70% となっていますが,将来の造船業界を担う人材育成に対して,さらに力を入れてゆく必要があると感じています。また,当部門は平成 19 年 3 月末までに福岡市西区元岡の新キャンパスへ移転し,一つの節目を迎えます。そこで,新しい発展ができるように,教員一同,一層の研鑽を積む所存です。

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