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建造船紹介 : 大型バルクキャリアーの紹介

ユニバーサル造船(株)有明事業所 設計部

航走中の瀬戸内 MAX バルクキャリアー
航走中の瀬戸内 MAX バルクキャリアー
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上甲板全景 (ハッチカバー)
上甲板全景 (ハッチカバー)
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居住区内 (士官サロン)
居住区内 (士官サロン)
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ユニバーサル造船有明事業所で建造中の,大型バルクキャリアーを紹介します。

このバルクキャリアーは,オーストラリアなど世界の主要な鉱炭積出港と日本国内などの主要な揚荷港に入港できるようデザインされた最大級の船です。日本の主要港の一つが瀬戸内海にあることから,「瀬戸内 MAX 船型」とも呼んでいます。

有明事業所では,2004 年 6 月完工の "AZUL CHALLENGE" (国内船主殿向け) を皮切りに,合計 4 隻を完工・引き渡しを終了し,今後さらに複数隻を建造する予定です。なお、当社の津事業所では,一足早く本船型のバルクキャリアーを建造し始め,2003 年 3 月から既に 5 隻を完工しています。

本船の特徴は以下の通りです。

  • 本船は計画喫水で約 17 万 8 千 DWT,構造喫水で約 20 万 DWT の載荷重量を有しています。鉱石専用船を除けば,世界最大級のバルクキャリアーです。
  • 9 個のカーゴホールドを有し,そのうち奇数番のカーゴホールドには比重の大きい鉄鉱石を積載できます。
  • すべてのカーゴホールドには,効率的な荷役が可能なように,2 枚パネルのサイドローリング式ハッチカバーを 1 組ずつ装備しています。
  • カーゴホールド船側は,従来通り外板に補強材を配した単船側構造ですが,二重底部分にはダクトキールを配置して保守・点検を容易にしています。
  • 船首部に,波浪中推進性能を改善するための当社独自の "AX-BOW" (文献 1) と称する特殊形状を採用し,舵には "SURF-BULB" (文献 2) と称する省エネデバイスを装備しています。
  • 船首区画やカーゴホールドには,最新の SOLAS 規則で要求される浸水警報装置や排水設備を装備しています。
  • 居住区はエンジンケーシング取巻きの 6 層構造で,標準乗組員数は 25 名です。
  • 主機は MAN-B&W 製 6S70MC Mark6 を採用し,通常航海速力は 14.7 ノットです。

ユニバーサル造船では,本船型に引き続き,最新 IMO 規則を先取りした完全二重船側構造の新型バルクキャリアーも既に開発を終了しています。

参考文献

  • "AX-BOW" に関する文献
    1. Matsumoto. K., et.al. : Development of Energy Saving Bow Shape at Sea,Proceeding of 4th Osaka Colloquium on Seakeeping Performance of Ships,October 2000
    2. 新船首形状 Ax-Bow,NKK 技報,No.176,2002 年
    3. 廣田他 : 実海域実船計測による Ax-Bow 効果の評価,関西造船協会論文集,第 240 号,2003 年 9 月
  • "SURF BULB" に関する文献
    1. 岡本他 : 船舶用省エネルギー装置 NKK-SURF の開発,NKK技報,No.132,No.129,1990 年

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